大阪高等裁判所 昭和28年(う)1620号 判決
原判決がその第二において昭和二八年一二月八日覚せい剤アンプル六三〇本所持の事実を認定し、これと第一の覚せい剤アンプル一一、三〇〇本譲受の事実との間に併合罪の関係ありとし刑法第四七条により併合罪の加重をした刑期範囲内で被告人を処断していることは所論のとおりであるが、挙示の証拠によると右第二判示事実において被告人が所持していたとする覚せい剤アンプル六三〇本というのは、原判示第一事実において譲り受けたと認定した一一、三〇〇本のうち同月五日頃譲り受けた分の残りであることが明白である。
しかし覚せい剤不法譲受の事実中にはこれによつて当然生すべき不法所持の事実を包含するものと解するのが相当であるから(最高裁判所昭和二四年一二月六日第三小法廷言渡判決参照)譲受後保管態様に変更を生じ別異な所持があるものと認むべき格別の資料のない本件にあつては、不法譲受罪とは別個に不法所持罪を構成するものではないものと解すべきであり、従つて両者を各独立の犯罪なりとしこれを併合罪として処断したのは違法であつて右は判決に影響するから論旨はその理由がある。